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「セカンドオーダー」とは

「セカンドオーダーの経営」でいうところの「セカンドオーダー」とは何だろうか。

もちろん、私が適当な思いつきで名付けているわけではない。社会学史に名を刻む超ビッグネーム、ニクラス・ルーマンが論じた社会システム論における「セカンドオーダーの観察(the second-order observation)1)」をふまえての由緒正しい名称である。

「セカンドオーダーの経営」が実際の経営判断・意思決定の場面において優れた見通しを提供できるのは、「セカンドオーダーの観察」という概念が拓く認識力の恩恵によるところが大きい。

以下、「セカンドオーダーの観察」とは何なのかを説明したい。

行為者の水準と観察者の水準

「セカンド(2nd)」オーダーというからには、当然「ファースト(1st)」オーダーが存在する。

日常用語でざっくり言ってしまえば、以下のようになる2)

  • ファーストオーダーの観察:「当事者」の水準。世界とは何か(what)に焦点を当てている。
  • セカンドオーダーの観察:「観察者」の水準。当事者が世界をどのように(how)見ているのかに焦点を当てている。

例えば、ある社長が金融機関で融資担当者と面談しているシーンを想定してみよう。このとき、「今期は〇〇万円の黒字を計上できる見込みです」という社長の説明はファーストオーダーの観察である。当事者である社長にとっては、「黒字か赤字か」に主な関心があり、

これに対して「この社長は〇〇万円の黒字になる見込みだと思っているようだ」という融資担当者の観察はセカンドオーダーの観察ということになる。


参考文献

1)
「セカンドオーダーの観察」は、学術的には「二次観察」とか「第二階の観察」と翻訳されている場合も多いので、参考文献を当たる方は注意してほしい。個人的には「二次観察」という普通過ぎる字面だと重要な概念であることが伝わらないし、「第二階の観察」だと数学を勉強した人にしか伝わらないと思うので、「セカンドオーダーの観察」のままにしている。
2)
ファーストオーダーが「当事者」、セカンドオーダーが「観察者」と言っているが、別々の人間である必要はない。
what-is-second-order.1682518178.txt.gz · 最終更新: 2023/04/26 23:09 by cotoli

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